木造建築士、耳にした事は少ないかもしれません、
しかし独自の技術や知識を生かし活躍されております。
現場の声も参考にしながら説明いたします。
目次
1.木造建築士について
2.建築士の仕事内容
3.この資格が生まれた理由
4.資格の特殊性
5.実際のお客様の声、職人さんの思い
6.受験資格、試験内容、合格率
7.最後に
1.木造建築士について
その名の通り木造の物件に対して設計をしたり
工事の監理(監督管理)等を行います。
1級建築士や2級建築士から比べると
設計出来る範囲は狭まりますが
木造建築物の専門家という点で注目されます。
業務の出来る建物の用途や面積
高さなどに手掛けられる制限があり
・2階建てまでの延べ面積300平方メートル(㎡)以下
・延べ100㎡超である場合は木造建築士の資格が必要です。
(1平方㎡=1m×1m=100センチ×100センチ)
(一般的な住宅は130~140㎡、約39~42坪前後の建築物です)
上記のようになります。
住宅以外でも、店舗、公共施設、商業施設等様々です。
昭和25年に改正された建築法に基づき
昭和59年から木造建築士資格が創立されました。
国家資格習取得が必要で
国が行う木造建築士試験に合格してから
都道府県知事の免許を受け取ります。
ちなみに「建築士の日」もあり
昭和25年7月1日に「建築士法」
が施行された事を記念として
昭和62年~「7月1日」となっております。
2.建築士の仕事内容
1級建築士、2級建築士、木造建築士と
手がけられる建物の規模に違いはありますが
すべき事は同じです。
・建築物の間取り、構造、設備などを計画して図面を作成。
・工事の監理(監督監理)を行います。
3.この資格が生まれた理由
建築士制度は
1級建築士 → 2級建築士 → 木造建築士
と設計出来る範囲が狭まっていきます。
実は木造で100㎡以下なら
無資格でも法的には設計できてしまいます。
(無資格だと様々な面でかなり大変ですが)
定められた範囲を超えてくると木造建築士か
それ以上の資格でなければ仕事は行えません。
資格がないと仕事の受注や工務店の経営にも影響が出てきます。
1級建築士,2級建築士でなくとも
小規模の木造建築物の設計や
工事監理を行うことが出来る様にする為に
この資格が生まれたようです。
今まで資格の必用でなかった大工さんが
昭和25年に資格制度が出来たために
思うように仕事が出来なくなってしまいました。
1級、2級の資格習得は難しく
救済的な面も含めて木造建築士資格を作りました。
壁や木材などの天然素材を求める需要も増えており
特殊性をもった木造建築士が求められているのも事実です。
勿論資格としてもっていれば有利な事は間違いありません。
以上の理由等からこの資格が確立されました。
4.資格の特殊性
建築士には
上位より1級建築士→2級建築士→木造建築士
とあります
・1級建築士は全ての建築物設計監理可能
・2級建築士は1級に比べ規模が限定されている
・木造建築士は2級に比べ規模が限定されている
といったように2級建築士をもっていれば
資格としては木造建築士で可能な範囲は全て行えます。
しかしここで木造建築士ならではの特殊性があります。
2級建築士は資格として
木造建築士で可能な範囲は全て行えます。
しかし木造建築士の試験では
2級建築士では求められないレベルでの
構造的な記載、内容や計算
伝統木材での必要な知識が求められます。
伝統木材の経験がないと解らない言葉等
専門性はかなり高いのです。
日本における伝統的な建造物は
木造であり歴史的建造物等
専門に木造を行える技術者が必要不可欠です。
奈良や京都等の世界的に有名なお寺も木造、
現在のコンクリートや鉄筋等の
技術、知識では対応が困難です。
このような建造物の維持においても必要な資格と言えます。
又、一般住宅やオフィスなどでも
無垢の板、漆喰いの壁、天然の木材を
使った生活を目指すニーズが増えており
大手の建設会社でも木造の魅力を認識しております。
今後木造建築の専門家という点からも
一般住宅からお寺まで関わる事が出来
木造建築士のニーズが高まると言われております。
5.実際のお客様の声、職人さんの思い
5-1 お客様の声
「実際に住んでみると木造独特の雰囲気や質感があり
以前住んでいたコンクリートの家よりも
単純に居心地が良いと感じています」
「夏は涼しく、冬は暖かい家等はよく耳にします
設備環境によっては勿論快適には過ごせますが
それだけではなく家全体が調整をしてくれている
そんな自然の優しさを感じています」
「遊びに来てくれた方々が皆、口をそろえて落ち着くと言ってくれます」
上記の様な声が多く聞かれております。
木造建築士の技術が生かされている事で
人の肌で感じる様な自然の感覚を体感されているのですね。
5-2 職人さんの思い
私が立てた家にも木造建築士さんが携わってくれましたが
その方は「独自の技術を生かし、最高の木材や、歴史のある建物と向き合った時
楽しくてしょうがない」と満面の笑みで話しておりました。
伝統技巧を駆使し木造建築を提供する事に対して
大きな喜びを感じている事が伝わります。
他にも、木の特性を生かしてシックハウスを予防したり
家の大きさや用途、風土によって木材の種類を決める等
技術を駆使しながら伝統を守り、日々進化していると感じます。
6.受験資格、試験内容、合格率
6-1 受験資格
(2級建築士及び木造建築士の受験資格・建築士法大15条)
1・大学、短大、又は高等専門学校において指定科目を収め卒業した者
実務経験=0年
2・高等学校又は中等教育学校において指定科目を収め卒業した者
実務経験=卒業後3年
3・その他都道府県知事が特に認める者
建築設備士=実務経験0年
知事が認める建築士法大15条3号に各当する基準に適合する者
所定の年数以上
建築設備士=建築士の要望に対して
建築設備の設計、工事監理に関する
アドバイスを行う事の出来る国家資格です。
実務経験不要で2級建築士、木造建築士試験
の受験資格があります。
さらに建築設備士の資格取得者は、4年の実務経験があれば
1級建築士試験の受験資格が与えられます。
4・建築に関する学歴がない
実務経験=7年以上
このように色々な道から木造建築士を目指す事は出来ます。
実務経験しかなくとも
大工さんや工務店等での経験を
7年積めば受験資格はあります。
伝統木造の門を叩けばさらなる
木造の知識も増えるでしょう。
早いうちに資格を持つことは
とても有利ですが経験を積みながら
学びながらのスタイルもありです。
6-2 試験内容
試験内容(二級建築士・木造建築士)
「学科の試験」と「設計製図の試験」の2部構成です。
学科試験
1.建築計画 2・建築法規 3・建築構造 4・建築施工
設計製図
合格者のみが設計製図の試験を受けることができます。
学科は2級建築士と重複している面が多いですが
内容的には優しいです。
特徴的な違いとして
構造や施工などで木造独特の言葉や内容などが出題されます。
木造建築士の試験はプランニングはせず
単線間取り図面等となります。
それを読み解き2級よりも構造的なことを中心に作図していきます。
(2級の実技試験はプランニングからやり、1級よりも構造が小規模木造であるだけで
1級と同じように:プランニングからの製図を行います)
プランニング課題
主に住宅中心の課題となり
三世代家族、仲間との繋がり、趣味等
に対しての設計条件が多く出題されます。
課題の内容をしっかりと理解し
機能性や温かみ等も考慮、想像しながら
作成する必要があります。
3種類の建築士の中では試験の内容も
木造建築物の知識を深く掘り下げるものとなっており
これらの部分が大きな違いとなります。
6-3 合格率
・学科
100満点中(100問)大体60点以上の正答が必要となります。
学科試験合格率 約60%
・設計製図
木造建築士として備えるべき
「建築物の設計に必要な基本的かつ総括的な知識及び技能」
を有することを認められたもの
実技試験合格率 約60%
全体の合格率は35%~40%前後となっております
試験内容、試験日、試験場所等
詳しい内容は試験公益財団法人
建築技術教育普及センターを参考にして下さい
7.最後に
木造建築士にも色々な適正があると言われておりますが
やはり一番大切な事は
木造建築士独自の知識、技術でお役に立ち
「この仕事が好き!!設計して家が建ち、喜んで貰える」
という気持ちが重要です。
これは全ての建築士に言える事でもあります。
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