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宅地建物取引士の詳細内容を徹底解説

不動産関係の資格の中で最も人気が高いのが宅地建物取引士です。

不動産業の仕事を行うためには必要不可欠といってよい資格であり、
不動産業の人間なら誰もが取得しておきたい資格となります。

 

これから不動産関係の仕事をはじめる人から
資格取得を目指していて資格制度や仕事内容を詳しく知りたい人まで

皆さんが完璧に理解できるように
宅地建物取引士のことをわかりやすくお伝えします。

 

目次

 1.宅地建物取引士とは?

 2.資格が誕生した背景

 3.資格の中身を完全に把握

 4.活躍の場や将来性

 

 

 

1.宅地建物取引士とは?

 

宅地建物取引士は不動産の売買・賃貸不動産の仲介などの
不動産全般を取り扱う専門家のことです。

 

もう少し詳しくいえば
不動産の取引に対して購入者などの利益の保護や
円滑な宅地または建物の流通となるように
公正かつ誠実に法に定める事務を行う
不動産取引法務の専門家です。

 

宅地建物取引士となるためには
毎年10月の第3日曜日に実施される資格試験に合格して
登録手続きを行うと共に宅地建物取引士証を交付してもらう必要があります。

 

宅地建物取引士は不動産関係の資格の中で
知名度と活用度が抜群に高い国家資格です。

 

ここ10年ぐらいの受験者数は
毎年18万人~20万人と安定しており、
登録者数は2016年現在で90万人以上になり、
不動産関係の資格の中では
圧倒的な受験者数や登録者数を誇っています。

 

また、不動産業者は宅地建物取引士の資格取得者なしに
不動産業を営むことができないため、
仕事を行う上で利用価値の高い資格ですし、
就職・転職を行う際に有利に働く資格となります。

 

2.資格が誕生した背景

第二次世界大戦後の日本では不動産取引に関する法整備がなされていなかったため、
法外な手数料請求や詐欺などの不適切な不動産取引が横行していました。

 

そこで、不動産取引の適正な運営を図ることを目的として、
1952年に宅地建物取引業法が施行されました。

 

宅地建物取引業法の施行当初は
宅地・建物の取引を行う者を免許制で認可していましたが、
1958年に建設省(現在の国土交通省)が「宅地建物取引員」の資格制度を創設し、
これ以降は資格を持たないと不動産業を行うことができなくなりました。

 

1965年に宅地建物取引員から「宅地建物取引主任者」に名称が変更され、
2015年から「宅地建物取引士」になると共に
下記の追加規定がなされました。

 

・宅地建物取引士としての信用・品位を害する行為の禁止

・宅地建物取引士として必要な知識・能力の維持向上を務めること

・宅地建物取引業者が従業者に対して必要な教育を行うよう努めこと

・暴力団員は宅地建物取引士として登録できないこと

 

追加規定によって
不動産取引のより一層の健全化が求められていることがわかります。

 

また、名称変更の法改正ごとに資格試験は難しくなっており、
それだけ宅地建物取引士に求められている役割が大きくなっていることを物語っています。

 

3.資格の中身を完全に把握

 

3-1.資格試験の内容

 

宅地建物取引士の資格試験は国家試験であり、
(財)不動産適正取引推進機構が各都道府県知事の委任を受けて実施しています。

 

受験希望者は
毎年1回(10月第3日曜日)
居住している都道府県で受験することができます。

 

尚、受験料は7,000円であり、
合否発表は試験の45日後になります。

 

受験資格として年齢・性別・国籍などの制限はなく、
誰でも受験できます。

 

1995年までは高校卒業または2年以上の
実務経験との受験資格がありましたが、
1996年以降は受験資格が廃止されました。

 

過去の例をみると
最年少合格者が12歳
最高齢合格者が90歳です。

 

基本的に受験資格はありませんが、
不正受験をした人は最長3年間の受験が禁止されています。

 

試験の内容は下記のとおりです。

 

出題方式 マークシート方式:50問(4択)
出題内容 ①土地の形質、地積、地目及び種別並びに建物の形質、構造及び種別に関すること
②土地及び建物についての権利及び権利の変動に関する法令に関すること
③土地及び建物についての法令上の制限に関すること
④宅地及び建物についての税に関する法令に関すること
⑤宅地及び建物の需給に関する法令及び実務に関すること
⑥宅地及び建物の価格の評定に関すること
⑦宅地建物取引業法及び同法の関係法令に関すること尚、毎年の傾向をみると
②と⑦に関して多くの問題が出題され、全体の約70%を占める場合もあります。
試験時間 120分
合格ライン 競争試験であるため、受験者全体の一定割合を合格としています。

今までの傾向をみていると、70%以上の正解であれば合格ラインを突破するようです。

 

 

1958年に宅地建物取引員として資格制度が創設された当初は
合格率が90%以上だったときもあり、
1965年に宅地建物取引主任者として名称が変更されてから15年間ぐらいは
合格率が20~50%ぐらいでしたが、
ここ10年間は合格率が15~17%程度と低くなっており、
合格するのが難しい試験になってきました。

 

試験の問題数は1958年当初で30問でしたが、
1965年に40問に増加し、
1981年から現在の50問になりました。

 

また、宅地建物取引業の従事者は
登録講習機関による登録講習を受けて修了試験に合格すれば
3年以内に行われる宅地建物取引士の資格試験において
出題内容の①と⑤に関する問題(5問)が免除されます。

 

その際に、宅地建物取引士の試験時間が120分から110分に短縮されます。

 

登録講習機関は下記のとおりです。
登録講習の内容・日時はそれぞれの登録講習機関にお問い合わせ下さい。

 

登録番号 登録講習機関
001 (財)不動産流通推進センター
002 (株)東京リーガルマインド
003 TAC(株)
005 (株)住宅新報社
007 アットホーム(株)
009 (株)総合資格
012 (株)辰已法律研究所
013 (株)日建学院
015 (株)日本ビジネス法研究所
016 (有)ユーノリカ(宅建ゼミナール)
017 (株)Kenビジネススクール
018 (株)九州不動産専門学院
020 (社)職能研修会
021 (学)大原学園
022 (株)プライシングジャパン
023 (株)Social Bridge
024 (財)福島宅建サポートセンター
025 (学)名古屋大原学園
026 (財)ハートステーション
027 (株)コンプリート TOP宅建学院
028 (社)宅建実務教育センター

 

 

登録講習の受講料は
それぞれの登録講習機関によって異なりますが、
約10,000~20,000円ぐらいかかるようです。

 

 

3-2.登録要件の確認

 

宅地建物取引士の資格試験に合格した後、
試験に合格した場所の都道府県知事に登録の申請を行うことが必要です。

 

但し、登録するためには下記のいずれかの登録条件を満たす必要があります。

 

・2年以上の実務経験

・登録実務講習実施機関が行う登録実務講習の修了

 

登録実務講習実施機関は下記のとおりです。
登録実務講習の内容・日時はそれぞれの登録講習機関にお問い合わせ下さい。

 

登録番号 登録実務講習実施機関
001 (財)不動産流通推進センター
002 (株)東京リーガルマインド
003 (株)日建学院
004 TAC(株)
005 (株)総合資格
007 (株)九州不動産専門学院
008 (株)日本ビジネス法研究所
012 (社)宅建実務教育センター
013 (社)職能研修会
014 (株)住宅新報社
015 (株)Social Bridge
016 (株)Kenビジネススクール
017 (財)ハートステーション
018 (株)プライシングジャパン
019 (株)新潟県宅建サポートセンター

 

登録実務講習の受講料は
それぞれの登録実務講習実施機関によって異なりますが、
約20,000~35,000円ぐらいかかるようです。

 

また、登録基準として下記のいずれかに該当する場合は登録できませんし、
登録していた場合は消除するように届けないといけません。

 

1.成年被後見人(注1)、被保佐人(注2)、破産者で復権を得ていない者

2.禁錮以上の刑に処せられ、その刑の執行が終わって5年を経過しない者、または
時効の完成などにより刑の執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者

3.一定の罰金刑(注3)に処せられ、その刑の執行が終わって5年を経過しない者、
または時効の完成などにより刑の執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者

4.不正手段による免許取得・業務停止処分に違反するなどにより免許を取り消され、
取消しの日から5年を経過しない者

法人の場合、免許取消処分の聴聞の公示日前60日以内にその法人の役員であった者で、
取消しの日から5年を経過しない者

5.上記4に該当するとして免許取消処分の前に廃業の届出をし、その届出から5年を経過していない者

6.上記5番の期間内に合併により消滅した法人、または解散・廃業の届出をした法人の、

聴聞の公示日前60日以内に役員であった者で、その消滅または届出から5年を経過しない者

7.宅地建物業の営業に関して成年者と同一の行為能力を有しない未成年者

8.不正登録等の理由により登録の消除処分を受け、その処分から5年を経過しない者

9.不正登録等に該当するとして登録の消除処分前に登録消除の申請をし、
その登録消除から5年を経過しない者

10.事務禁止処分を受けて、その禁止期間中に本人の申請により登録の消除がなされ、
その禁止期間が満了しない者

 11.暴力団員による不当な行為の防止などに関する法律に規定する暴力団員、または
暴力団員でなくなった日から5年を経過しない者

 

※注1:精神障害により事理を判断する能力を欠いているとして、家庭裁判所から後見開始の審判を受けた者

 

※注2:精神障害により事理を判断する能力を欠いているとして、家庭裁判所から保佐開始の審判を受けた者

 

注3:宅建業法違反、背任罪、暴行罪、脅迫罪、傷害罪、暴力団員による不当な行為の防止に関する法律違反などによる罰金刑

 

宅地建物取引士の登録手数料は37,000円であり、
登録の効力は消除を受けなければ一生有効であり続けます。

 

また、宅地建物取引士として不動産業務を行うためには
宅地建物取引士証の交付を受ける必要がありますが、
交付申請手数料は4,500円です。

 

試験に合格して1年経過した場合、
交付申請前に法定講習を受ける必要がありますが、
法定講習受講料は11,000円です。

 

宅地建物取引士証の有効期間は5年ですが、
更新するときに法定講習を受ける必要があり、
交付申請手数料と法定講習受講料を合わせて15,500円かかります。

 

3-3.宅地建物取引士の独占事項・設置義務

 

宅地建物取引士は不動産業を行うために必要な資格ですが、
特に下記の3つの業務が宅地建物取引士の独占事項であると定められています。

 

重要事項の説明:宅地・建物の取引相手に対して、物件や契約内容に関する重要事項の説明を行う。

 

重要事項説明書への記名・押印:重要事項説明書に記載されている内容に間違いがないかを確認し、記名・押印を行う。

 

契約内容記載書への記名・押印:契約書の内容に間違いがないかを確認し、記名・押印を行う。

 

 

また、不動産業者は事務所ごとに原則として従業員の5人に対して1人の割合で
専任の宅地建物取引士(注4)を置くことを義務付けられています。

 

専任の宅地建物取引士が変更となる場合は30日以内に届出ないといけませんし、
欠員が生じたときには2週間以内に欠員を補充しないといけません。

 

このように、宅地建物取引士は不動産業者にとって必要不可欠な資格となっています。

 

※注4:「専任の宅地建物取引士」とは、事務所に常勤して不動産業に従事する宅地建物取引士であることを示します。

 

4.活躍の場や将来性

 

宅地建物取引士の活躍の場として

・不動産会社への勤務

・不動産会社の開業

などがあげられます。

 

不動産会社に勤務する場合、
一般の会社員と同じように平均年収は300万円~600万円といわれていますが、
宅地建物取引士の資格を有することによって資格手当をもらえたり、
会社内でのキャリアーアップに繋がるケースが多いようです。

 

これから不動産会社に就職を考えている人や
他の不動産会社への転職を考えている人にとっても
宅地建物取引士の資格を有することは有利に働きます。

 

また、最近は不動産会社だけではなく、
他の業界でも宅地建物取引士に対するニーズが高まっています。

 

例えば、銀行などの金融会社は
担保として不動産を取り合うことも多いので、
宅地建物取引士を人材として求めるケースが増えているようです。

 

不動産会社を開業する場合には
宅地建物取引士は必要不可欠な資格となります。

 

もちろん、資格を保有するだけで経営できるほど甘くはなく、
不動産業に関する知識・営業力・人脈などが必要になってきます。

 

不動産会社を開業する場合には、
一旦不動産会社に就職してそこでスキルを磨いたり、人脈を構築してから
独立するという人が多いようです。

 

 

いずれにしても、不動産業の仕事をしていく上で
宅地建物取引士の資格を有することの重要性は高いため、
意欲がある人は資格を取得することにチャレンジされてはいかがでしょうか?

 


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